「ワールド・カフェのつくりかた」ワークショップに参加しました
はじめに
こんにちは。クニ吉あらため、今錦(いまにしき)くにきちです。
なんと苗字がつきました。今後ともよろしくお願いいたしますm(_ _)m
さて、今回はワールド・カフェをチームに取り入れたい!ということで、ダイナミクス・オブ・ダイアログ LLC主催の「ワールドカフェのつくりかた」というワークショップに参加してきましたので、まとめ感想ブログです。
10:00〜18:00(実際は18時半近くまで)という長丁場のワークショップでしたが、時間があっという間に感じるほど楽しくて、とても有意義なものでした。
本ブログはワークショップの参加レポートであり、ワールド・カフェのつくりかたを指南するものではありません。
ワールド・カフェについて詳細を知りたい方は、後述に紹介する書籍をご購入ください。
本ブログの構成
- ワールド・カフェってなに?
- 当日のスケジュールとざっくりと感想
- ワールド・カフェに関する書籍紹介
- ワールド・カフェの進め方
- 企画と仕掛け
- まとめ
ワールド・カフェってなに?
みなさんも会議で話し合う機会があると思いますが、意見が出なかったり、ある一定の人ばかりが話してしまったり、いまいち盛り上がらず会議が終わるといった経験が少なからずあると思います。そういうときに効果的なのが「ワールド・カフェ」です。
ワールド・カフェは、「参加する全員の意見や知識を集めることのできる対話手法のひとつ」です。
ワールドカフェの効果
- 話しやすさを⽣み出す
- 発⾔の機会が増える
- 参加者全員の意⾒が集まる
- 参加意識が⾼まり満⾜感が得られる
- ⼈がつながる
注意が必要なのは、ワールド・カフェで何でもできるわけではありません。 ワークショップの中で紹介されたワールド・カフェが適しているケースと適していないケースは以下の通りです。
ワールドカフェが適しているケース
- たくさんの考えや知識を集めたい
- 考えや知識を深めたい
- 相互理解を進めたい
- 関係性を深めたい
- 新たな気づきを得たい
ワールドカフェが適していないケース
- 既に決定した答えに向かって進んでいるとき
- 一方通行で情報を伝えたいとき
- 詳細なプランなどを作成するとき
- ワークショップに十分な時間が取れないとき(90分が目安)
- 激しく対立して一触触発状態のとき(高度なファシリテーション力が必要)
この通り、ワールド・カフェは意見などを「発散する」、「広げる、深める」ことが基本です。何かを決定する場ではなく、次につなげるための仕掛けだと言えます。
ワールド・カフェで出てきた意見を材料に別途会議を設けて何かを決定したり、実際の業務に落としてこんでいきます。
これはワークショップの中で何度も出たキーワードですが、ワールド・カフェを「課題解決のための1つのツール」と認識する必要があります。
当日のスケジュールとざっくりと感想
今回のワークショップは以下のような内容で進行しました。
参加者は12名、1テーブル4名で3テーブルで行いました。
- イントロダクション
- 本日の流れとテーマの説明
- 進め⽅の説明
- 自己紹介
- ワールドカフェ体験
- 進め方とカフェエチケット解説
- ラウンド×3
- 全体共有
- 振り返り(体験を通じて感想や気づき)
- ワールドカフェとは?(説明、活用事例紹介)
- ワールド・カフェの企画(説明と実践)
- 問いの探求(説明と実践)
- 全体共有のしかたについての説明
- 当日の進行についての説明
- まとめ
- 質疑応答
- 感想共有
私は以前参加していた技術系コミュニティなどでワールド・カフェを何度か体験したことがあるのですが、今回は企画側として学ぶものだったので「ほー」「なるほどー」ということが随所にありました。
参加しているだけではわからなかったのですが、ワールド・カフェには要所要所にいろんな仕掛けがちりばめられていて、企画段階でかなり練り込まなければうまくいかないものなんだということがわかりました。
企画95%、当日5%くらいでは?という感想がグループ内でも出たくらい企画は重要です。
これについては、後述いたします。
ワークショップの成果物
ワールド・カフェに関する書籍紹介
書籍については以下を紹介されました。
- 「ワールド・カフェをやろう」
(新版が出てました→「ワールド・カフェをやろう 新版 会話がつながり、世界がつながる」) - 「ワールド・カフェ~カフェ的会話が未来を創る~」
「ワールド・カフェ~カフェ的会話が未来を創る~」は訳本となり、原書と表現のずれをなくすようにしているため、言葉が難解で初めての方が読むには少々分かりづらいようです。
「ワールド・カフェをやろう」は、翻訳をされた香取一昭さんが分かりやすく書いているということで、こちらから入った方が良さそうです。
ワールド・カフェの進め方
詳細は書籍などにお任せするとして、ワールド・カフェを知らない方向けに(知っている方にはおさらいとして)今回の「ワールド・カフェ体験」で使ったものや進め方を簡単にご紹介。
必要なもの
- 模造紙(話し合いながら自由に書きます)
- カラーペン(何色か用意します)
- ふせん(全体共有や振り返りなどに使用します)
- トーキングオブジェクト(対話時に話す人が持つなにか物)
- 進め方のガイド(エチケット)
- カフェな雰囲気(いつもと違う雰囲気作り)
進め方
- 準備
- ファシリテータから簡単に進め方の説明
- 自己紹介
- 各自1本ずつペンを持つ
- ラウンド1
- 問いの提示
- 問いについて対話(20分程度)
- 席をシャッフル1
- 各テーブルの1名(ホスト)が残る
- 他の参加者は別のテーブルへ移動する
- ラウンド2
- ホストがラウンド1での話の内容を共有(繋ぐ)
- 問いについて対話を進める(20分程度)
- 席をシャッフル2(シャッフル1と同じ)
- ラウンド3
- ホストがラウンド2での話の内容を共有(繋ぐ)
- 問いについて対話を進める(20分程度)
- 全員が最初のテーブルへ戻る
- ラウンド4
- 問いについて対話を進める
- それぞれ別テーブルで話し合ったことなども話す
- 全体共有
- 振り返り
ワールド・カフェではいろんな人同士が話し合い、ホストによって話の内容を繋いだり全体で共有することによって、さまざま意見に触れる機会を設けます。さまざまな意見に触れることで話を広げたり深めることが狙いです。
私自身これまで何度も体験していますが、自分では思いもよらない考えを聞くことによって視野が広がったり、新しい発見や気づきを得ることがあります。対話って大事だしすごいなーと思う瞬間です。
企画と仕掛け
ワールド・カフェの進め方はざっくり前述の通りなのですが、ワールド・カフェを行うにあたり、運営側は企画をしなければなりません。さきほど企画大事だという感想を書きましたが、そのことについて書いていきます。
今回のワークショップでは、以下のようなシートを書きながら企画の作成にチャレンジしました。
書く順番は、左上から反時計回りで書いてゆき、最後に「タイトル・テーマ」を書くようにします。今回のワークショップでは場づくりや運営体制、概要などの項目は除外し、課題や問いの設定を中心に行いました。
課題の確認と開催の主旨
実際書いてみた感想として、まず左の列を書くだけで結構苦労しました。課題だと思っていることに対して今回どういうことをしたいのか、がうまく抽出できなくて、項目を行ったり来たりしながら書きました。
左列真ん中で「長期的な目標」と「ワールド・カフェ開催目的」とで分かれています。最初の方でも書いた通り、ワールド・カフェはあくまで課題解決のための1ツールであり、ワールド・カフェだけで課題を解決できるものではありません。
長期的な目的がまさに「課題解決」としたら、その目標に向けて今回のワールド・カフェでは何をゴールとするのか、を明確にしないと要素が多くなりすぎて書きにくくなります。(まさにそれを体験しました)
「問い」の作成と探求
「問い」項目に入ると、それまで書いてきたところと整合性が合わなくなって、まだ今回の主旨にブレがあることに気づいたり、要素が複数あって書きにくいことに気づいて、課題を分解し前述の開催目的などを修正する必要がありました。 この「問い」項目、特に難しい要素でした。この「問い」の内容次第では、まったく盛り上がらなかったり、開催の主旨から外れてしまい開催した意味さえ失われかねません。
ワークショップの中で書いた問いをブラッシュアップしていく「問いの探求」という時間がありました。
グループ内で話し合ったり、代表して何名かの問いを講師の方が見ていくというものでしたが、以下のような傾向がありました。
- 企画者のフィルターを通しているため、思い込みや誘導しているような問いになっている
- 上記に関連して、企画者の意図が見えすぎて参加者をしらけさせてしまいかねない問いになっている
- 話が広がらず盛り上がらなさそうな問いになっている(問いが複数の場合、関連性が弱かったりすると話が広がりにくい)
- ネガティブな問いになっている
- ひとつの問いに要素を詰め込みすぎている
- 意見が出しにくい問いになっている
自身で考えた問いに関しても普通に書けたと思っていましたが、かなり思い込みが入っていたことに気づかされてハッとしましたA^^;
「問いの探求」の様子
さまざまな仕掛け
ワールド・カフェではさまざまな仕掛けがあると書きましたが、大事なことは「主体的に」「リラックスして対話し」「話を広げる、深める」ことです。
つまり、参加者が受動的だったり、何かに遠慮して自由に話せなかったり、そもそも話す機会がなかったり、そのようにならないための仕掛けが必要です。ここでは本ワークショップで紹介された仕掛けをいくつかご紹介します。
必ず行うべき内容というわけではなく、一例としてご参照ください。いろんなやり方があると思います。
主体性を持たせるための仕掛け
参加者に主体性を持って参加してもらうためには例えばこんなことがありました。
- カラーペンはたくさんの色を用意する
- 模造紙の色をいくつか用意する
- 模造紙はまとめて置いておき、参加者が取ってくる
- 席はあらかじめ決めずに自由に座ってもらう
- 数種類のお菓子を用意して、お皿も分ける。
- ファシリテータは何もしない。(世話焼かない)
これらの共通点は「参加者自らが選択すること」です。運営側がなんでも用意、指示してしまうと、参加者は受動的になってしまいます。逆に運営側が何もしないと参加者は動かざるをえなくなり、参加者自身で「選ぶ」ことで参加意識が芽生え、選んだことによる満足感が生まれます。
確かにそうだよなーと妙に納得してしまいました。
活発に対話が行われるための仕掛け
活発に対話が行われるための仕掛けはいくつかあります。
にぎやかな雰囲気を作る
- 会社でやるならいつもの会議室ではないような雰囲気を作る
- お菓子を用意する
- 音楽をかける
- あえてスタッフが雑談してみる
いつもの会議室といった堅い雰囲気や、シーンとした静かなところで話し始めるのは緊張してしまうものです。いつもと違った雰囲気にすると「おおっ!なんだこれ」と反応がありますし、参加者がワクワクと楽しい気持ちになります。音楽をかけたり、話し声が聞こえる場では声を出しやすくなりますし、お菓子を取りに行く時間は自然ににぎやかになります。
話しやすい環境を用意する
- 上下関係がはっきりしている場合は、グループを分ける
- トーキングオブジェクトを用意する
- ニックネームで呼び合うようにし、親しみを感じやすくする
- 「もし〜〇〇だったら」など夢を広げて自由な発想で意見を出しやすい問いをつくる
仮に部長と若手社員が一緒だと、若手社員は顔色を伺ってしまい自由に話すことができなかったり、部長の演説会のようになってしまう、といった場合があります。そういったことが予想される場合には、部長グループを作って部長の中だけでシャッフルするといった工夫をします。
トーキングオブジェクトとは話す人が持つ何か「もの」です。これは持っている感覚があるため、話しすぎている人は自身が話しすぎているということに気づきやすくなります。また、話していない人も持った感覚がないため気づきやすいです。ふわふわしたものや柔らかいもの、つるつるしたものなど、持って気持ちいいものが良いそうです。後述しますが、この感覚を利用してファシリテータは場の調整をします。
ファシリテータは対話に介入しない
ファシリテータは基本対話している時はノータッチです。
ワールド・カフェという場において、ファシリテータは本人の意思とは無関係に力を持ってしまいます。もしファシリテータが介入してしまうと、その場の方向づけをしてしまい、意見が広がらなくなります。たとえば、「こう考えたほうがいい」とコメントしてしまうと、参加者はファシリテータの示した方向へ進んでしまい、他の意見が出づらくなります。
また、介入によって企画の意図が見えてしまい、場がしらけてしまう可能性もあります。
もし介入するとすれば、ラウンドとラウンドの間だけ。しかし、この時も決して話に対するコメントをして良し悪しを決めるようなことがあってはいけません。 では何をするかというと、ファシリテータは全体の状況を見て場を調整します。
- ペンが全く動いていない場合は、書くように仕向ける
- 話しすぎている人とほとんど話していない人がいたら、全体が程よく話せるように仕向ける
- 話しにくい問いだと思ったり、だいぶ話が煮詰まってきたと思ったら問いを変える
例えば、「話しやすい環境を用意する」でも出てきた通り、話しすぎている人やほとんど話していない人がいるような場合は、ラウンドとラウンドの間で調整します。
ワークショップでは、以下のような調整例が紹介されました。
ファシリテータがこのように問いかけて次のラウンドを始めることで、全員が意見を言いやすいように場を調整(仕切り直す)します。
- ファシリテータ:「目をつぶってください。 今のラウンドで話しすぎちゃったなー、ずっとトーキングオブジェクトを握ってたなーという人は手をあげてください。」
- (手を挙げる)
- ファシリテータ:「逆に、今のラウンドで聞き手に回りすぎちゃったなー、トーキングオブジェクトをほとんど触ってないなーという人は手をあげてください。」
- (手を挙げる)
- ファシリテータ:「一話して、三聴く分量で次のラウンドは話してくださいね。」
仮にラウンドの中で口論があったとしても、それもひとつのプロセスだと捉えファシリテータは放置するとのことでした。
このグループは口論というプロセスを経てまとまっていくんだなぁ・・、と、参加者も信じることが大切で、信じていればうろたえずに対応できると教わりました。
まとめ
このワークショップは、実際に体験したり事例紹介を交えて解説いただけたので、とても理解しやすかったです。
冒頭でも書きましたが、とにかく企画(仕掛けも含めて)をじっくり練るべし!というのが最大の学びです。
ワールド・カフェ体験後に企画側に回ることで、仕掛けに対する「効果」、「納得感」を実感できました。
また、企画を一人で行うとどうしても偏った内容になってしまいがちなので、企画グループを作って対話をしあいながら、ワールド・カフェをデザインする必要があるな、と思いました。がんばろう・・。